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2026年の自動車規制はどう変わる?騒音・排ガス規制の要点

把握しておくべき2026年自動車規制の概要
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2026年に導入される自動車規制について、具体的な内容をご存知でしょうか。

私たちのカーライフに直結するこの2026年問題は、騒音規制や排ガス規制の強化、そして改正道路交通法による新たな法規制など、多岐にわたる変更を含んでいます。

特に、これまで多くのドライバーに愛されてきたガソリン車やスポーツカーの未来に大きな影響を与える可能性があります。この規制はフェーズ1、フェーズ2と段階的に強化され、さらに厳しいフェーズ3へと移行する計画ですが、「フェーズ3無理」との声も上がるほど、その内容は厳しいものです。

フェーズ3いつから適用されるのか、またフェーズ3延期の可能性はあるのか、そして2026年の改正道路交通法で何が変わるのか、多くのドライバーが疑問や不安を抱えています。

この記事では、複雑で分かりにくい2026年の自動車規制について、その全体像と私たちの生活への影響を一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。

<記事のポイント>
・2026年から本格化する主要な自動車関連の法改正
・段階的に強化される騒音規制(UN-R51-03 フェーズ1~3)の詳細
・ガソリン車やスポーツカーの将来性への大きな影響
・ドライバーや購入検討者が今から備えておくべきこと

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把握しておくべき2026年自動車規制の概要

把握しておくべき2026年自動車規制の概要
  • 巷で騒がれる2026年の車問題とは?
  • 2026年に施行される自動車の法規制
  • 改正道路交通法で何が変わる?
  • 厳格化されていく自動車の排ガス規制
  • 新たな騒音規制とフェーズ2の基準
  • 次の規制フェーズ3はいつから適用か

巷で騒がれる2026年の車問題とは?

近年、自動車業界で「2026年問題」という言葉が注目されています。これは、2026年を中心に施行される一連の新しい自動車関連の規制や法律の変更を総称したものです。

この問題は単一の規制を指すのではなく、複数の法改正が同時期に重なることで、ドライバーや自動車産業全体に大きな影響を及ぼすことを示唆しています。特に、環境性能と安全性向上を目的とした規制強化が中心となっています。

具体的には、主に以下の3つの大きな柱から成り立っており、それぞれが私たちのカーライフに深く関わってきます。

規制の種類主な内容影響を受ける範囲
道路交通法の改正生活道路での法定速度引き下げ、自転車交通違反への青切符導入、大型車へのEDR(イベントデータレコーダー)搭載義務化など全てのドライバー、自転車利用者、運輸事業者
騒音規制の強化国際基準「UN-R51-03」に基づき、市街地走行を模した加速走行騒音を段階的に強化(フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3)。近接排気騒音も相対値規制へ移行。新型車、継続生産車(特にスポーツカーや高性能車、ディーゼル貨物車)
排ガス規制の強化欧州で導入予定の次世代規制「ユーロ7」に準ずる厳しい排出ガス基準の適用が予想される。ブレーキダストやタイヤ摩耗粉も規制対象になる可能性。主に新型のガソリン車、ディーゼル車

これらの規制は、交通事故の削減、生活環境の改善、そして地球温暖化対策といった社会的な要請に応えるために導入されます。例えば、道路交通法の改正は、歩行者や自転車利用者の安全確保を直接の目的としています。

一方で、騒音規制や排ガス規制の強化は、自動車メーカーに対して非常に高度な技術的対応を迫るものです。特に趣味性の高いスポーツカーや、パワフルなディーゼルエンジンを搭載した貨物車、そして従来のガソリン車の存続に大きな影響を与える可能性が指摘されています。このため、多くの自動車ファンや業界関係者が、今後の動向を固唾をのんで見守っている状況です。

参照情報

これらの規制に関する詳細な情報は、以下の公的機関のウェブサイトで確認することができます。法令は変更される可能性があるため、常に最新の情報を得ることが重要です。

2026年に施行される自動車の法規制

2026年に施行が予定されている自動車関連の法規制は、私たちの安全で快適な交通社会を実現するために計画されています。

これらの法規制は個別に存在するのではなく、変化する社会環境や交通事情、そして国際的な基準との調和を図るという共通の背景を持っています。

その主な目的は、以下の通りです。

  • 交通事故死傷者数の削減:特に、歩行者や自転車利用者が巻き込まれる事故を減らすことが急務とされています。警察庁のデータによると、交通事故死者数の中で歩行中・自転車乗用中の割合は依然として高く、より効果的な対策が求められています。(参照:警察庁 交通統計
  • 生活環境の保全:住宅街などの生活道路における騒音問題を解決し、地域住民が安心して暮らせる環境を整えることも重要な目的の一つです。これは、静かな環境を求める国民の声に応えるものでもあります。
  • 地球環境への配慮と国際協調:世界的な潮流であるカーボンニュートラル実現に向け、自動車からの排出ガスをさらにクリーンにすることが求められています。また、自動車がグローバルな製品であるため、その安全・環境基準も国際的に調和させていく必要があります。

このように、法規制は単に運転を厳しくするものではなく、社会全体の持続可能性と安全性を高めるという大きな視点から導入されるものです。

例えば、生活道路の速度規制は、子どもや高齢者といった交通弱者を守るための重要な施策と言えます。また、騒音規制は、静かな住環境という公共の利益に貢献します。

私たちドライバー一人ひとりがこれらの法規制の背景と目的を正しく理解し、日々の運転に活かしていくことが、より安全で住みやすい社会の実現に繋がります。これは、単なる義務ではなく、社会の一員としての責任とも言えるでしょう。

改正道路交通法で何が変わる?

改正道路交通法で何が変わる?

2026年には、私たちの運転や移動に直接関わる道路交通法の改正が複数施行される予定です。日常生活に密接した変更が多いため、事前に内容を正確に理解し、スムーズに対応できるように準備しておきましょう。

生活道路における法定速度の引き下げ

最も大きな変更点の一つが、センターラインや中央分離帯のない狭い「生活道路」における法定速度が、原則として時速30kmに引き下げられることです。これは2026年9月から施行予定とされています。

  • 背景:警察庁の調査によると、生活道路では歩行者や自転車の通行が多く、自動車の速度が高いと重大事故に直結します。特に、自動車の速度が時速30kmを超えると、衝突時の歩行者の致死率が急激に上昇するというデータがあり、これが速度設定の根拠となっています。(参照:国土交通省「生活道路における交通安全対策」
  • 影響:住宅街や商店街の裏通りなどを走行する際は、これまで以上に厳格な速度管理が求められます。ナビゲーションシステムの指示速度や標識がない場合でも、この原則を念頭に置いた運転が必要です。業務で車両を使用する企業は、移動時間の再計算やドライバーへの徹底した教育が不可欠となります。

自転車の交通違反に対する「青切符」制度の導入

スマートフォンの「ながら運転」など、自転車による危険な運転も深刻な問題となっており、これに対する取り締まりが強化されます。16歳以上の自転車利用者を対象に、信号無視や一時不停止といった比較的軽微な112の違反項目に対しても、反則金が科される「交通反則通告制度(青切符)」が導入されます。

これまで口頭での警告や指導で済まされるケースが多かった違反も、今後は厳格な法的措置の対象となります。

企業に求められる対応

従業員が通勤や業務で自転車を利用している場合、企業としてもこれらの法改正を周知徹底する責任があります。万が一、従業員が業務中に青切符を切られた場合、業務の遅延だけでなく、企業の安全管理体制が問われる可能性も考えられます。社内での交通安全教育の実施や、必要であれば保険の見直しも検討すべきでしょう。

その他の変更点

他にも、自動車が自転車の右側を通過する際の新たな安全ルールや、普通仮免許を取得できる年齢要件の引き下げ(18歳から17歳6ヶ月へ)なども予定されています。これらの変更は、より安全で合理的な交通環境を目指すためのものであり、全ての交通参加者が正しく理解しておく必要があります。

厳格化されていく自動車の排ガス規制

2026年以降、自動車の排ガス規制も国際的な動向に合わせて、より一層厳しくなることが予想されています。世界がカーボンニュートラルを目指す中で、自動車の環境性能は避けて通れない課題です。特に注目されているのが、欧州で導入が検討されている次世代の排ガス規制「ユーロ7(Euro 7)」です。

ユーロ7は、これまでの規制とは一線を画す、非常に包括的で厳しい内容を持つと言われています。

  • 規制対象の拡大:従来の規制は、主にエンジンから排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などが対象でした。しかしユーロ7では、それに加えてブレーキダスト(ブレーキ時に発生する摩耗粉)やタイヤの摩耗によって生じるマイクロプラスチックといった、これまで規制対象外だった非排気系の粒子状物質も含まれる可能性があります。
  • 測定条件の厳格化:「Real Driving Emissions(実路走行排気)」の考え方がさらに徹底され、エンジン始動直後の低温時、急加速時、高地での走行、重い荷物を積んだ状態など、あらゆる実走行条件下で排出ガスが基準値内に収まっていることが求められます。

日本が直ちにユーロ7と同じ規制を導入するかは未定ですが、世界の自動車市場でビジネスを行う日本のメーカーは、この厳しい基準に対応せざるを得ません。

結果として、国内で販売される車種にも、この規制をクリアするための技術が搭載されることになり、間接的に日本の排ガス規制も強化される方向に向かうと考えられます。

ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の位置づけ

日本の規制では「電動車」として優遇されることが多いハイブリッド車ですが、国際的なZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制の枠組みでは、エンジンを搭載しCO2を排出するため対象外となるのが一般的です。

今後の厳しい排ガス規制強化の流れの中で、ハイブリッド車の優位性がどのように変化していくかについても、注視が必要です。

このような排ガス規制の強化は、自動車の価格上昇に繋がる可能性も指摘されています。よりクリーンな排出ガスを実現するためには、高度な触媒装置やセンサー、複雑な制御システムが必要となり、その開発・製造コストが車両価格に反映されるためです。

私たち消費者にとっては、環境性能と経済性のバランスを考えた車選びが、今後ますます重要になってくるでしょう。

新たな騒音規制とフェーズ2の基準

排ガス規制と並行して、自動車の騒音に関する規制も国際基準に合わせて強化されています。その根幹となるのが、国際連合の「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」で採択された騒音規制「UN-R51-03」です。この規制は3段階のフェーズに分かれており、段階的に基準が厳しくなっていきます。

フェーズ1:新しい測定方法の導入

平成28年(2016年)から導入されたフェーズ1では、従来の全開加速での測定から、より市街地での走行実態に近い方法で加速騒音を測定する方式へと変更されました。これは、規制の第一段階として、評価の土台を国際基準に合わせた形です。

フェーズ2:基準の本格的な引き下げ

現在適用が進んでいるのが「フェーズ2」です。これは騒音レベルの基準値そのものを引き下げるもので、自動車メーカーにとっては本格的な対応が求められる厳しい内容です。

  • 適用時期:新型車には2020年9月から、そして重要な点として継続して生産されている車種にも2022年9月1日から適用されています。
  • 影響:この規制強化により、一部のスポーツカーや商用車は、規制に対応するための改良(マフラーの変更など)を余儀なくされたり、対応が困難な場合は生産終了に至ったりするケースも出てきています。

車両カテゴリとPMRについて

騒音規制は、車の種類や性能に応じて細かく基準が定められています。Mカテゴリは乗用車、Nカテゴリは貨物車を指します。また、PMR(Power to Mass Ratio)は「最高出力(kW) ÷ 車両重量(kg)」で計算されるパワーウェイトレシオのことで、この数値が高いほど高性能車と分類されます。

近接排気騒音の「相対値規制」への移行

車検時などに測定される「近接排気騒音」のルールも大きく変わりました。従来は、車種ごとに定められた上限値(例: 96dB)を下回っていればOKという「絶対値規制」でした。

しかし、平成28年10月以降の新型車からは、新車時の騒音値からプラス5dBまでしか認められない「相対値規制」へと移行しています。これは、マフラーの経年劣化や不正な改造による騒音の増大を防ぐのが目的で、純正状態の静粛性を維持することが求められる、より厳しい規制と言えます。

次の規制フェーズ3はいつから適用か

自動車騒音規制の最終段階として、そして最も大きなインパクトを持つとされているのが「フェーズ3」です。この規制は、これまでの規制とは比較にならないほど厳しい基準値が設定されており、特に内燃機関(エンジン)を搭載する自動車の未来を大きく左右するものと言われています。

適用時期の目処

国土交通省が示す計画によると、フェーズ3の適用時期は以下の通りです。

  • 新型車:2024年10月8日以降(一部カテゴリは2026年10月8日以降)
  • 継続生産車:2026年10月8日以降(一部カテゴリは2028年~2029年以降)

このスケジュール通りに進めば、2026年の秋には、現在販売されているほとんどの純粋なガソリンエンジン車やディーゼル車が、新しい規制基準を満たせなくなる可能性が極めて高い状況です。

フェーズ3の具体的な規制値(乗用車の例)

フェーズ3がいかに厳しいかを理解するために、乗用車(M1カテゴリ)の規制値を見てみましょう。

車両カテゴリ(PMR別)フェーズ1フェーズ2フェーズ3
PMR 120以下(一般的な乗用車)72 dB70 dB68 dB
PMR 160超(高性能車)75 dB73 dB71 dB

dB(デシベル)は対数なので、わずか数dBの差が、人間が感じる音の大きさでは大きな違いとなります。例えば、一般的な乗用車ではフェーズ2からさらに2dB、高性能車でも2dBの低減が求められます。

これは、現在の技術ではエンジン音を大幅に抑制するか、加速をモーターに頼らない限り達成が極めて困難な水準です。

このため、2026年は単なる規制強化の年ではなく、多くの純エンジン車にとって、事実上の「生産終了」を意味するタイムリミットになるかもしれないのです。自動車メーカーも、この厳しい未来を見据えて、電動化へのシフトを急いでいます。

今後の見通しと2026年自動車規制の影響

今後の見通しと2026年自動車規制の影響
  • 対応はフェーズ3無理と言われる背景
  • 注目されるフェーズ3延期の可能性
  • 純ガソリン車の販売はどうなるのか
  • 新車で買えなくなる?スポーツカーも?

対応はフェーズ3無理と言われる背景

騒音規制「フェーズ3」が、自動車業界関係者や専門家の間で事実上、純エンジン車では対応不可能とまで言われるのには、明確な技術的・物理的な理由が存在します。

なぜ単なる規制強化ではなく、ゲームチェンジャーとまで言われるのか。その背景を理解することで、なぜ自動車業界が歴史的な転換点を迎えているのかが見えてきます。

エンジン性能と騒音の根本的なジレンマ

最大の理由は、エンジンが持つ「高性能=高出力」と「静粛性」という、根本的に相反する要素の両立が極めて難しい点にあります。

  • パワーと燃焼音の関係:自動車が力強く加速するためには、エンジン内で大量のガソリンを瞬間的に燃焼させ、大きな爆発エネルギーを生み出す必要があります。この燃焼エネルギー、すなわちパワーが大きければ大きいほど、排気音をはじめとするエンジン関連の騒音は必然的に大きくなります。これは物理的な原則です。
  • 排気効率と消音効果のトレードオフ:排気音を小さくするには、マフラー(消音器)の内部構造を複雑にし、排気ガスの流れに多くの抵抗(壁や仕切り)を与える必要があります。しかし、これは同時に排気の流れを悪くする(排気効率の低下)ことにも繋がり、エンジンの出力を落とす直接的な原因となります。いわゆる「抜けの悪いマフラー」ではパワーが出ないのはこのためです。

つまり、静かにしようとすればパワーが落ち、パワーを出そうとすれば必然的に音量が大きくなる、という根本的なジレンマを、内燃機関は常に抱えているのです。

フェーズ3で求められる「68dB」や「71dB」といった極めて厳しい基準は、このジレンマの解決を、従来のエンジン技術の延長線上ではほぼ不可能にしています。

高性能を維持したままこの基準をクリアするには、エンジン音以外の方法でパワーを得る、すなわち「電動化(モーターアシスト)」に頼らざるを得ない、というのが専門家の一致した見解です。

モーターは作動音が非常に小さく、かつ瞬時に大きな力を出せるため、騒音を出さずに加速性能を補うことができる唯一の解決策とされています。

注目されるフェーズ3延期の可能性

これほどまでに厳しい「フェーズ3」ですが、その一方で、導入時期の延期や内容の見直しを求める声も国内外で存在し、今後の動向が注目されています。規制がもたらす影響の大きさから、その実施については慎重な議論が続いています。

延期や見直しを求める声の背景

延期の可能性が議論される背景には、単一の理由ではなく、複合的な要因が挙げられます。

  • 自動車産業界からの強い要望:規制に対応するための技術開発、特に電動化技術へのシフトには、莫大な研究開発費と設備投資が必要です。急激な規制強化は、特に経営体力に乏しい中小メーカーや部品サプライヤーにとっては死活問題となりかねません。そのため、業界団体などから、より現実的な移行期間や目標値の見直しを求める声が上がっています。
  • 不安定な世界経済とエネルギー情勢:世界的なインフレーションや、電気自動車(EV)の主要な材料であるリチウムなどの資源価格の高騰、半導体不足に代表されるサプライチェーンの混乱など、自動車産業を取り巻く環境は極めて不安定です。このような状況下で、さらなるコスト増に直結する規制強化を計画通りに推し進めることへの慎重論も根強くあります。
  • 消費者の選択肢と負担の問題:急激な電動化は、消費者が購入できる車種の選択肢を狭め、車両価格を押し上げる可能性があります。また、集合住宅の充電設備問題や、電力供給が不安定な地域など、全ての消費者がすぐにEVへ移行できる環境にはありません。多様なニーズや実情を無視した規制は、消費者の反発を招く恐れもあります。
  • 合成燃料(e-fuel)など代替技術の台頭:近年、CO2と水素から製造する合成燃料(e-fuel)など、既存の内燃機関を活用しつつカーボンニュートラルを目指す技術開発も進んでいます。欧州では、こうした燃料を使用するエンジン車を将来的に容認する動きも見られ、電動化一辺倒ではない多様な選択肢を残すべきだという議論も活発化しています。

延期は「中止」ではない

ただし、最も注意しなければならないのは、仮にフェーズ3の導入が数年延期されたとしても、自動車業界が目指す「脱炭素化」「環境負荷の低減」という大きな方向性が変わるわけではないということです。

延期はあくまで社会情勢を鑑みた移行措置であり、技術開発のための猶予期間に過ぎません。自動車メーカーは、その間に電動化技術の開発をさらに加速させることが求められます。

私たち消費者も、いずれはやって来る大きな変化に備え、長期的な視点で情報収集を続け、次の愛車選びを考えていく必要があるでしょう。

純ガソリン車の販売はどうなるのか

純ガソリン車の販売はどうなるのか

一連の規制強化、特に騒音規制フェーズ3と排ガス規制の厳格化は、「純粋なガソリンエンジンだけで走る車(ICE車)」の将来に決定的な影響を与えます。多くの人が気にするこの問いに対する答えは、残念ながら厳しいものとならざるを得ません。

結論から言えば、2026年以降、特に新しいモデルとして登場する純ガソリン車の数は、ほぼゼロに近づいていくと予想されます。

なぜ販売が決定的に難しくなるのか

前述の通り、フェーズ3の騒音基準や、ユーロ7に準ずる排ガス基準を、モーターなどの電動アシストなしにクリアすることは技術的・コスト的に見合わないためです。メーカーが規制に対応するためには、事実上、以下のいずれかの選択を迫られます。

  • ハイブリッド化(HEV/PHEV):エンジンにモーターを組み合わせる方式です。発進時や加速時など、エンジンに大きな負荷がかかり騒音や排出ガスが増える領域をモーターでアシストすることで、規制をクリアしやすくします。これが、今後数年間の最も現実的な主流の対応策と考えられています。
  • 電気自動車化(BEV):エンジンを完全に撤廃し、バッテリーとモーターのみで走行します。騒音や走行時の排気ガスは当然ゼロになりますが、車両価格の高さ、航続距離への不安、充電インフラの整備といった課題が残ります。
  • 性能の大幅な引き下げ:規制をクリアするためだけに、エンジンの出力を大幅に下げて静かにするという選択肢も理論上はありますが、それでは商品としての魅力を完全に失ってしまうため、メーカーがこの選択をすることはありません。

つまり、「エンジンならではの力強い加速や官能的なサウンド」を魅力としていた車種ほど、その魅力を維持したまま生き残ることができなくなるのです。

今後は、エンジンが主役ではなく、あくまでモーターを補助する、あるいはモーターが主役でエンジンが補助する、といった形のパワーユニットが当たり前になっていくと考えられます。純ガソリン車は、新車市場から段階的に姿を消していく運命にあると言えるでしょう。

新車で買えなくなる?スポーツカーも?

一連の規制強化で、最も直接的かつ深刻な影響を受けると懸念されているのが「スポーツカー」のカテゴリーです。エンジン性能やサウンドを最大の魅力としてきたこのカテゴリーにとって、今回の規制は存在意義そのものを問うものと言っても過言ではありません。

結論として、現在私たちが楽しんでいるような、ガソリンの燃焼フィールと咆哮するエキゾーストノートを特徴とする純エンジン・スポーツカーを、2026年秋以降に新車で購入することは、ほぼ不可能になる可能性が高いです。

絶版が危ぶまれるモデルたち

具体的には、以下のような特徴を持つモデルが、規制の壁に直面すると考えられます。

  • 高回転・高出力型の自然吸気エンジンを搭載するモデル
  • 大排気量のターボエンジンを搭載し、パワフルな走りを特徴とするモデル
  • 刺激的な排気サウンドをセールスポイントにしているモデル

具体的な車種名を挙げれば、日産の「GT-R」やトヨタの「GRヤリス」「GR86」、スバルの「BRZ」、マツダ「ロードスター」といった国産スポーツカーから、海外のスーパーカーに至るまで、多くのモデルが現行の仕様のままではフェーズ3の騒音規制をクリアできないと言われています。

そのため、自動車メディアなどでは「純エンジンスポーツカーを手に入れるなら、今が最後のチャンス」という言葉が現実味を帯びて語られています。

「スポーツカー」が消えるわけではない

ここで重要なのは、「スポーツカーという文化が世の中から無くなる」わけではない、ということです。自動車メーカー各社は、規制に対応した新しい時代のスポーツカー像を必死に模索し、開発を進めています。

  • モーターを組み合わせ、低回転から鋭い加速を実現するハイブリッドスポーツ
  • 異次元の加速力と静粛性を両立させるEVスポーツ

これからのスポーツカーは、伝統的なエンジン音の代わりに、モーターがもたらす静かでシームレス、かつ暴力的なまでの加速フィールや、四輪を自在に制御する高度な運動性能を新たな魅力としていくことになるでしょう。

伝統的なガソリンエンジンの魅力が失われることを惜しむ声がある一方で、新しい技術がもたらす未来の「走る楽しさ」に期待する声も多くあります。私たちは、まさにその歴史的な過渡期を目撃しているのです。

まとめ:2026年自動車規制の重要点

まとめ:2026年自動車規制の重要点

この記事で解説してきた、2026年に本格化する自動車規制の重要なポイントを最後にまとめます。これらの変更点を正しく理解し、今後のカーライフに備えましょう。

  • 2026年問題とは騒音規制・排ガス規制・道路交通法改正など複数の法改正の総称
  • 交通事故の削減、生活環境の改善、地球環境への配慮が主な目的
  • 改正道路交通法でセンターラインのない生活道路の法定速度は原則時速30kmになる
  • 16歳以上の自転車利用者による交通違反には青切符制度が導入される
  • 自動車の騒音規制は国際基準「UN-R51-03」に基づき段階的に強化
  • フェーズ2はすでに継続生産車にも適用が開始されている
  • 近接排気騒音は新車時の音量から悪化させない「相対値規制」へ移行済み
  • 最終段階のフェーズ3は2026年秋から継続生産車にも適用が始まる予定
  • フェーズ3の基準値は極めて厳しく純エンジン車での対応は技術的に困難
  • 排ガス規制も欧州の「ユーロ7」を念頭に置いた厳格化が予想される
  • ブレーキダストなど非排気系の粒子状物質も規制対象になる可能性がある
  • これらの規制強化により純粋なガソリンエンジン車の新車販売は激減する見込み
  • 特に高出力なエンジンやサウンドを魅力とするスポーツカーへの影響は決定的
  • 今後の主流はモーターを搭載したハイブリッド車や電気自動車(EV)になる
  • 規制の延期や見直しの議論もあるが脱炭素化という大きな流れは変わらない

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