2026年の最低賃金、特に経済の中心である東京の予想について、「一体いくらになるの?」「いつ決まるの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
歴史的な物価高が続くなか、私たちの生活に直結する最低賃金の動向は、これまで以上に重要な関心事となっています。
この記事では、東京の2026年最低賃金予想を軸に、決定までのスケジュールやこれまでの推移を詳しく解説します。また、全国ランキングにおける東京の位置づけや、埼玉や千葉といった近隣県など他地域の動向との比較を通じて、より多角的な視点を提供します。
<記事のポイント>
・2026年東京の最低賃金も上昇傾向が濃厚
・決定時期は例年通り2026年の夏頃
・全国ランキングや近隣県との比較も重要
・企業への影響など多角的な視点で解説
2026年の最低賃金予想・東京版の基本情報

- そもそも最低賃金はいつ決まる?
- 東京都における最低賃金の推移
- 全国平均1118円になるのはいつから?
- 全国の最低賃金ランキングと東京
- 最低賃金が上がりすぎたらどうなる?
そもそも最低賃金はいつ決まる?
最低賃金がどのように決まるのか、そのプロセスとスケジュールを知ることは、今後の動向を予測する上で非常に重要です。最低賃金の改定は、毎年国が定める手順に沿って進められます。
結論から言うと、2026年の新しい最低賃金も、例年通りであれば2026年の夏頃に引き上げ額の目安が示され、同年10月1日から適用開始となる見込みです。
最低賃金決定までの年間スケジュール
最低賃金の決定プロセスは、国の中央審議会での議論から始まり、各都道府県の地方審議会での最終決定へと続きます。以下に年間の大まかな流れをまとめました。
時期 | 内容 | 決定機関・プロセス |
---|---|---|
6月~7月頃 | 厚生労働省の「中央最低賃金審議会」で本格的な議論がスタートします。 | 労・使・公(労働者代表・使用者代表・公益代表)の三者で構成される国の審議会です。 |
7月下旬~8月上旬頃 | 審議の結果、全国的な引き上げ額の「目安」が答申として示されます。 | 経済状況に応じて都道府県をA~Cのランクに分け、ランクごとに異なる目安額が提示されます。 |
8月中 | 国の目安を参考に、各都道府県の「地方最低賃金審議会」で地域の実情を反映した議論が行われます。 | 地域の経済実態や雇用情勢などを、より細かく検討します。 |
8月下旬~9月上旬頃 | 各都道府県での最終的な改定額が答申・決定され、官報で公示されます。 | 各都道府県労働局長が最終決定します。 |
10月1日頃~ | 決定された新しい最低賃金が、全国で順次発効します。 | この日から、使用者は新しい最低賃金額以上の賃金を支払う義務が生じます。 |
ポイント
最低賃金の決定は、国全体の経済状況と、各都道府県の地域性の両方を考慮して行われる、非常にバランスの取れたプロセスです。2026年の動向を知るには、2026年夏のニュース速報に注目することが重要になります。
東京都における最低賃金の推移
東京都の最低賃金は、過去を振り返ると一貫して上昇傾向にあります。特にここ数年は、その上げ幅が拡大しており、日本の賃金水準をリードする存在となっています。
以下の表は、最低賃金が時給で示されるようになった平成14年度(2002年度)以降の推移をまとめたものです。このデータからも、経済状況に応じて上げ幅は変動しつつも、着実に上昇してきたことがわかります。
特に、令和3年度(2021年度)以降は4年連続で過去最大の引き上げ額を更新しており、賃上げへの強い意志が感じられますね。
東京都最低賃金額の推移(平成14年度~令和6年度)
年度 | 最低賃金額(時間額) | 引上額 | 発行年月日 |
---|---|---|---|
平成14年 (2002) | 708円 | – | 平成14年10月1日 |
平成19年 (2007) | 739円 | 20円 | 平成19年10月19日 |
平成22年 (2010) | 821円 | 30円 | 平成22年10月24日 |
平成27年 (2015) | 907円 | 19円 | 平成27年10月1日 |
令和元年 (2019) | 1,013円 | 28円 | 令和元年10月1日 |
令和2年 (2020) | 1,013円 | 0円 | 令和元年10月1日 |
令和3年 (2021) | 1,041円 | 28円 | 令和3年10月1日 |
令和4年 (2022) | 1,072円 | 31円 | 令和4年10月1日 |
令和5年 (2023) | 1,113円 | 41円 | 令和5年10月1日 |
令和6年 (2024) | 1,163円 | 50円 | 令和6年10月1日 |
(参照:東京労働局 報道発表資料)
コロナ禍での据え置き
表を見ると、令和2年(2020年)は引き上げ額が0円となっています。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への深刻な影響を考慮し、企業への過度な負担を避けるために、引き上げが見送られたためです。しかし、その後は経済活動の回復とともに、再び大幅な引き上げ路線に戻っています。
この歴史的な推移は、2026年の最低賃金を予想する上で最も基本的な根拠となります。過去のトレンドを踏まえれば、2026年も社会情勢に大きな変動がない限り、上昇する可能性が極めて高いと言えるでしょう。
全国平均1118円になるのはいつから?
ニュースなどで「全国平均1118円」という数字を目にした方も多いかもしれません。この金額は、2025年度(令和7年度)から適用される見込みの全国加重平均額です。
2025年8月4日に、厚生労働省の中央最低賃金審議会が2025年度の引き上げ目安を「全国加重平均で63円」とする答申を出しました。これにより、現在の1055円から63円プラスされ、1118円となる見通しです。この改定は、例年通りであれば2025年10月1日から順次適用されます。
東京都の2025年度の目安額は?
全国平均が1118円になるのと同じタイミングで、東京都の最低賃金も改定されます。2025年度の目安では、東京が属する「Aランク」の引き上げ額は63円と示されました。
これにより、東京の最低賃金は現在の1,163円から63円上がり、1,226円になる見通しです。2026年の予想を考える上で、この1,226円という数字が新たな基準点となります。
政府目標「全国平均1500円」
政府は「2020年代に全国平均で1500円」を達成するという目標を掲げています。2025年度の1118円という数字も、この大きな目標に向けた過程の一つです。
目標達成には今後も継続的な大幅引き上げが必要となるため、この政策が続く限り、2026年以降も最低賃金は上昇し続けると考えるのが自然です。
全国の最低賃金ランキングと東京
東京都の最低賃金は、全国の都道府県と比較してどのような位置にあるのでしょうか。結論から言うと、東京都は長年にわたり全国で最も高い最低賃金額を維持しています。
これは、日本の経済活動が東京に一極集中していることや、物価・家賃といった生活コストが他地域に比べて突出して高いこと、そしてサービス業などを中心とした深刻な人手不足などが背景にあります。
2024年度(令和6年度)全国最低賃金ランキング TOP5
参考として、2024年10月1日発効時点での全国ランキングを見てみましょう。
順位 | 都道府県 | 最低賃金額(時間額) | 前年度からの引上額 |
---|---|---|---|
1位 | 東京 | 1,163円 | +50円 |
2位 | 神奈川 | 1,162円 | +50円 |
3位 | 大阪 | 1,114円 | +50円 |
4位 | 埼玉 | 1,078円 | +50円 |
5位 | 愛知 | 1,077円 | +50円 |
※全国加重平均額は1,055円
このように、東京は2位の神奈川と僅差ではあるものの、常にトップを走り続けています。この傾向は今後も変わらないと見られており、2026年も東京が全国最高額を更新することはほぼ間違いないでしょう。
最低賃金が上がりすぎたらどうなる?
最低賃金の引き上げは、労働者の所得を増やし、生活を安定させるという大きなメリットがあります。しかし、その一方で、引き上げのペースが急すぎることによるデメリットや懸念点も存在します。
多角的な視点から、考えられる影響について理解しておくことが大切です。
急激な最低賃金上昇の潜在的リスク
- 企業経営への圧迫:特にパート・アルバイト労働者の比率が高い飲食業、小売業、宿泊業などの中小企業にとって、人件費の増加は直接的な経営負担となります。賃上げ分を価格に転嫁できない場合、収益が悪化し、設備投資の抑制や新規採用の停止、最悪の場合は廃業につながるリスクがあります。
- 雇用の減少:人件費を吸収できない企業が、従業員の労働時間を削減したり、雇い止めを選択したりする可能性があります。これにより、かえって労働者の収入が減ってしまったり、失業者が増えたりする「雇用調整」が起こる懸念があります。
- 「年収の壁」問題の深刻化:社会保険料の負担が生じる年収の壁(106万円や130万円など)を超えないように、労働時間を調整するパート労働者は少なくありません。最低賃金が上がることで、壁に達するまでの時間が短くなり、就業調整の動きがさらに広がる可能性があります。
- 物価への影響:人件費の上昇分を多くの企業が商品やサービスの価格に転嫁すれば、全体の物価が押し上げられます。賃金の上昇を物価の上昇が上回ってしまうと、実質的な生活水準は改善されません。
もちろん、これらはあくまで懸念点です。最低賃金の上昇が、企業の生産性向上や業務効率化への投資を促し、経済全体に良い影響を与えるという側面もあります。
メリットとデメリットの両方を踏まえた、慎重な議論が毎年行われているのです。
2026年の最低賃金予想・東京と他地域の比較

- 近隣県の埼玉はどうなる?
- 千葉の最低賃金も上がる?
- 兵庫県の最低賃金の動向
- 福岡の最低賃金予想について
- 北海道の最低賃金改定の動き
近隣県の埼玉はどうなる?
東京に隣接する埼玉県の最低賃金は、東京の動向と極めて強く連動するのが特徴です。
その最大の理由は、両都県の労働市場が一体化しているためです。埼玉県から東京都内へ通勤・通学する人は非常に多く、もし東京と埼玉の賃金格差が大きく開いてしまえば、埼玉の労働力が東京へ一方的に流出し、県内の産業が深刻な人手不足に陥る可能性があります。
この「労働力の流出防止」という観点から、埼玉県の地方最低賃金審議会では、毎年、東京の改定額を強く意識した議論が展開されます。
東京と同じ「Aランク」
中央最低賃金審議会が示す目安では、経済状況に応じて都道府県がランク分けされますが、埼玉県は東京都と同じ最高ランクの「Aランク」に分類されています。これにより、国が示す引き上げ目安額も同額となることがほとんどです。
これらの理由から、2026年の埼玉県の最低賃金も、東京の引き上げに追随する形で、全国平均を上回る大幅な上昇が見込まれます。
千葉の最低賃金も上がる?
千葉県も、埼玉県と同様に東京との経済的な結びつきが非常に強く、最低賃金も連動して上昇すると考えられます。
千葉県も東京のベッドタウンとして大きな役割を担っており、労働市場は地続きです。賃金水準で東京に見劣りすると、働き手が都内に流れてしまうという構造は埼玉と全く同じです。
成田空港や大規模な工業地帯、そして人気のテーマパークなど、千葉県独自の産業も盛んですが、やはり労働市場全体としては東京の影響を色濃く受けますね。
千葉県も、東京都や埼玉県と同じく最高ランクの「Aランク」に位置づけられています。これは、経済規模や支払い能力が全国トップクラスであることを示しており、最低賃金を大幅に引き上げる体力が十分にあると判断されている証拠です。
したがって、2026年の千葉県の最低賃金も、東京の動向と歩調を合わせる形で、着実な引き上げが実施されると見るのが妥当でしょう。
兵庫県の最低賃金の動向
西日本の経済を牽引する兵庫県の最低賃金も、全国的に高い水準で推移しており、今後も安定した上昇が期待されます。
兵庫県は、大阪府と一体となった巨大な関西経済圏を形成しています。特に神戸市を中心とした地域は、大阪との経済的な結びつきが強く、賃金水準も連動する傾向にあります。
2025年度の引き上げ目安を決めるランク分けでは、東京や大阪の「Aランク」に次ぐ「Bランク」に分類されました。しかし、興味深いことに、引き上げ目安額はAランクと同じ「63円」と提示されています。これは、Bランクの中でも特に経済が好調で、賃金の支払い能力が高いと評価されていることを示しています。
Bランクとは?
Bランクには、兵庫県のほか、北海道、宮城、京都、広島、福岡など、各地方の中核となる28の道府県が含まれています。Aランクの6都府県に次ぐ経済規模を持つグループです。
こうした状況から、兵庫県の最低賃金は、2026年も全国平均を上回るペースで引き上げられ、引き続き全国トップクラスの水準を維持していくものと予想されます。
福岡の最低賃金予想について
九州の経済・文化の中心地である福岡県は、近年目覚ましい成長を遂げており、その勢いが最低賃金の上昇にも反映されると期待されています。
福岡市は「スタートアップ都市」として国内外から注目を集め、IT企業やベンチャー企業の集積が進んでいます。それに伴い、若年層の人口流入が続くなど、都市としての活気が高まっています。
アジアの主要都市に近いという地理的な優位性も、福岡の強みです。ビジネスや観光の拠点として、今後ますます重要性が高まっていくでしょう。
このようなダイナミックな経済成長は、当然ながら労働需要の増加に繋がります。優秀な人材を確保するための競争も激しくなっており、企業側も魅力的な賃金を提示する必要に迫られています。
2025年度のランク分けでは「Bランク」に位置していますが、その高い成長ポテンシャルから、2026年には全国平均を上回る高い伸び率を示す可能性を秘めた、注目の地域と言えます。
北海道の最低賃金改定の動き
広大な大地と豊かな自然を誇る北海道も、観光業の力強い回復と、各産業での人手不足を背景に、最低賃金の着実な引き上げが見込まれます。
特に、インバウンド観光客の回復は、北海道経済にとって大きな追い風です。ニセコや富良野といった国際的なリゾートエリアでは、労働需要が急増し、賃金水準も全国トップクラスに達しています。こうした動きが、地域全体の賃金相場を押し上げる効果も期待されます。
一方で、北海道が基幹産業とする農業や漁業、そしてサービス業全般で、労働力不足は深刻な課題となっています。魅力的な賃金をはじめとする労働条件を提示できなければ、働き手を確保することはできません。最低賃金の引き上げは、こうした産業を維持していくためにも不可欠な要素です。
地域間格差の是正
政府は、都市部と地方の経済格差を是正する方針を掲げています。実際に2025年度の目安では、最もランクの低い「Cランク」の引き上げ額が、A・Bランクを上回る「64円」に設定されました。
この「格差是正」の流れは、北海道のような広大な面積を持つ地域の最低賃金議論においても、重要な後押しとなるでしょう。
2026年の最低賃金予想・東京の総まとめ

この記事では、2026年の東京都の最低賃金予想について、様々な角度から解説してきました。最後に、記事全体の要点をリスト形式でまとめます。
- 2026年の東京の最低賃金は、これまでの上昇トレンドを引き継ぎ、更なる引き上げが確実視される
- 決定スケジュールは例年通りで、2026年夏頃に目安が示され、10月1日に新賃金が発効する見込み
- 政府が掲げる「2020年代に全国平均1500円」という目標が、継続的な賃上げの強い後押しとなっている
- 2025年度に東京の最低賃金は1,226円になる見通しで、2026年はこれが新たな基準点となる
- 過去の推移を見ると、特に近年は上げ幅が拡大しており、このペースが継続する可能性が高い
- 東京は全国最低賃金ランキングで長年1位を維持しており、2026年もその地位は揺るがないと予想される
- 最低賃金が急激に上昇すると、中小企業の経営圧迫や雇用の減少といったリスクも存在する
- メリットとデメリットの双方を考慮した慎重な議論が毎年行われている
- 近隣県の埼玉や千葉は、労働力の流出を防ぐため、東京の動向に強く連動して上昇する
- 両県とも東京と同じ「Aランク」に分類されており、高い引き上げが見込まれる
- 兵庫県は「Bランク」だが経済は好調で、全国トップクラスの高い水準を維持する見通し
- 福岡県は活気ある経済成長を背景に、全国平均を上回る高い伸び率を示す可能性がある
- 北海道は観光業の回復と人手不足から、着実な引き上げが期待される
- 2026年の具体的な引き上げ額は、その時の日本経済全体の状況や企業の支払い能力を総合的に判断して決定される
- 最も正確な情報を得るためには、2026年夏頃に発表される厚生労働省や東京労働局の公式情報を必ず確認することが重要
・2026年最低賃金予想を深掘り!主要都市の動向と今後の見通し
・2026年の最低賃金予想・大阪はいつから上がる?今後の推移
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